便りのないのは無事の証、と言いますが、まさにその通りですね。本日はシルバーが肥満細胞腫になったことの記録をかねてのエントリです。
春の予防シーズンでの血液検査では、今までずっと高値だった好酸球値も正常値になり、オールオッケーで過ごしていたシルバーですが、そのほぼ直後にまさかの肥満細胞腫発症という憂き目を見ることになりました。
とはいえ、現在のところは本犬は(投薬の影響で多飲多尿はあるものの)食欲も元気もあって、薄気味悪いほどに甘やかされることをいぶかしむことすらなく、楽しく毎日過ごしています。
シルバー「俺は毎日ゴキゲンにしてるよ?」
そもそもは、シルバーが我が家に来てさほど経たないうちに気づいた、左後ろ足小指の外側の側面にできていた、小指の爪より小さいくらいの大きさの白くて丸いシコリ。それは早々に検査して特に異常な細胞もなく、単なる舐めダコか寝ダコの類ではなかろうか、との診断でした。すれる場所にあるので、ちょいちょい傷になったり出血したりもあったように記憶していますが、白く丸く割とつるんとこんもりした形で大きくもならず、ただそこにあるだけのものでした。
4月頃、寝室のカーペットが一部血まみれになっていて、本犬もなにやらそこを執拗に舐めているようだったので、てっきり舐め壊しでもしたかと軽く洗ってやって絆創膏ぺったん。舐めないように見守っていれば、本犬もさして気にせず、「少し治りが悪いなあ」とは思ったものの表面は綺麗に乾いて元どおりに治りました。
数日後、またなんだかジクジクした感じになっているようだったので、また舐めちゃったかなと絆創膏を貼り、創面保護のみしていたのですが…また治りが遅い。でもまた治る。そんなことを繰り返してるうちに予防シーズンになり、GWごろに獣医さんに行ってワクチン接種や血液検査のついでに爪切りをしてもらったら、どうやらその時にスタッフさんの手を焼かせたようで戻ってきた時には爪からではなくせっかく治ったシコリの表面から出血しているようでした。暴れでもして、治りかけのところを薄皮が剥げちゃったのかなあとまた絆創膏ぺったん。
それからGWに入り、軽く遊びに行ったりして過ごし。GW明けに「なかなか治らないねえ」と絆創膏を取り替えていて…気づきました。ジクジクした表面は、今までのように漫然とただれてジクジクしてるだけでなく、小さな潰瘍ができているということに。そして、よくよく見ると小指の爪より小さかったサイズも、微妙に拡大していることに。
仮にも検査済みのシコリでもあり、半日ほどためらいもしましたが…。やはり不安は募り、翌日の5月10日には獣医さんに行くことに。春の健康診断を受けてほぼ間なしでの受診となり、健康診断の時についでに診てもらえばよかったなと思いながら。
いつものように「気にしすぎ、舐め壊しですよ」と笑い飛ばしてもらえないかと思って結果を待っていたところ、返ってきた答えは「肥満細胞腫です」という重い返事でした…。
ボディの皮膚ならば、マージンをとって切除できます。でも、場所は指先にも肉球にも近いところ。フラット飼いとしての常識では、その時点で切除やむなし。問題は、どこまで切るか、という話です。それも、発見したらなる早でやるべき。その知識と覚悟はフラットを飼っている以上、ある、つもりでした。「指一本で済めば御の字」どのフラ飼いさんに聞いても、多分、そういう答えが返ってくるはずのことです。
指先の関節部分(見た目上の指一本)になるのか、ホックの部分までの本当の指一本分を外すことになるのか、膝下全部無くすか、左足丸ごと持っていかれることになるのか…。それで済むのか、転移してしまって命を落とすことになるのか…。肥満細胞腫では、遠隔転移もあります。物理的に刺激するだけで顆粒が放出されて炎症が起き、たやすく転移する傾向の強い腫瘍。簡単なその程度の知識はありました。
どうしたらいいのか、何ができるのか、どうなるのか、頭の中で考えがぐるぐる回りました。
しかし、思いもかけずかかりつけから提示された対処は、「ステロイドを服用して、縮退を期待する」という方法でした。正直、そんな悠長なことしていていいのか、という気持ちが8割。でも、できれば可愛いチッたんの足一本どころか指先ひとつだって失いたくない、という思いもありました。
専門の知識が圧倒的に足りない飼い主としては、その場で即決もできず。かと行って素直に「先生にお任せします」などと責任を丸投げにしたい訳でもなし。考える間に無為に過ごすのも嫌なので、とりあえず提示されたステロイドを受け取り、持ち帰りで方針を考えることとしてその時点では辞去しました。
父ちゃんにも詳細を伝え、それぞれでネットで全力で調べてみたところ、麻布大の獣医チームの論文などを見つけ、かかりつけ医の提示した方針がまるで意味のないことではないのを追認できました。ステロイドを2週間処方する、という方法も、その論文中では「2週間の投与での縮退・消失」という事例と合致しています。
また、翌々日にはいつもお願いしているわんこ整体の先生にも所見をお願いしましたが、やはり脾臓や胸腺に反応が出ていて、よくない状態であることも確認できました。(とはいえ、その程度の状態はチッたんが我が家にきてから今までにも何度もあったことなのですが)
ステロイドの処方量は、単純に体重比で考えても人間に処方する量のほぼ倍量。ステロイドパルスとはいかなくても、かなりの高容量です。(それも、エナちゃんに聞いてみたところ、本当の高容量だとさらに倍量以上ということもあるそうなのですが)
それだけのことを調べて考えて所見を求め情報を集めるだけで二日間経ちました。かかりつけでの一次診断を受けたのは金曜日。無為に過ごすのも嫌だからと見切り発車でステロイドは当日から飲ませることにして、副作用の多飲多尿も発生しつつ、シコリの経過観察でした。
幸い、目に見えて爆発的にもりもりと大きくなることはなく、微妙に拡大したかどうか…。いや、むしろ、ステロイドの作用でか腫れが引いた分は小さくなったような…?表面も保護している分、乾いて治ったように見えて、また少しジクジクして、の繰り返し。
病変部の大きさの確認も、リンパ節の腫れ具合も、飼い主の自己判断だけでは心もとなく、日曜日の午後診療(午前中はわんこ整体に行ってました)でもかかりつけにて現状確認とお互いの腹づもりのぶちまけ大会をしてみました。
結果は以下の通り。
・指一本落とす、というのはやはりオオゴトであること
・不可逆手術なので、慎重に行いたいこと
・拙速に行う必要があるほどの悪性度ではないと思えること(かかりつけ医は一応腫瘍認定医です)
・ステロイドで縮退を狙えば、ギリギリマージンを取って指を温存しての切除が可能かもしれないこと
・悪性度の低い肥満細胞腫であればステロイドの反応も高いことが期待できること
・グレード判定は専門の病理結果を待つことになるが、現状で病変部の拡大がなく、反応がいいことから逆に悪性度が低い期待も高いこと
・金曜日には左膝のリンパ節が小指の先大に腫大しているようだったが、2日後にはまた触れないほどの大きさになっていて、リンパ節転移というよりも単純な炎症からの影響と思えること
そんな話をしっかりとしてきました。
それでも、やはり悪性腫瘍であることや、フラットいう悪性腫瘍の感度が高い犬種であることも鑑みると、切除が安全策であることには変わりありません。
でも、最悪の「命を落とすか足を落とすか」までの選択はなくなるかもしれない…!
今日で一次診断した日から1週間。見た目上は平たく硬めのシコリになり、表面も乾いて傷も治り、まるでただのタコのように見えます。大きさも日曜の段階から変わらずで、ピンクちゃんの乳がん転移の腋下皮下でモリモリ大きくなって増殖していった上皮癌とはまるで比べ物にならないくらいに大人しくしてくれています。
膝のリンパ節も、飼い主にはわからないくらいの状態で…これまた話に聞く「はっきりわかるほどの腫大」もおきていません。
黒っぽく見えるのは、病変部の表面から浮き上がってはがれかけてるカサブタというか滲出した漿液の乾いたやつ。白い部分が元々のシコリの色。
針生検でとった細胞の病理の結果も一応返ってきたとの連絡がありましたが、明確なグレード判定には至らなかった模様。ただ、歴然と悪性度高めの結果ではなく、どちらかといえば悪性度低めと思われるような書きっぷりの結果とのことでした。まあ、それは検体不足だったのでしょうからやむなし…。
ステロイドを処方して1週間、もう1週間分を飲みきる前に、またかかりつけで経過の確認をして、善後策を検討すると(具体的な手術日や範囲の決定等かな?)相談がまとまりました。もちろん、このまま状態が大きく変化しなければ、ではありますが。
そんな感じの、発症から現在までの経過をまとめてここに記録しておきます。
絆創膏するとこんな感じ。この状態で、このまま見ないでいれば無くなってくれるといいんだけどなあ…、なんて思っちゃいます。
この1週間の経過観察が致命的な判断ミスで、遠隔転移などの結果を招いていたら、飼い主としてどれほど悔やまれることでしょうか…。それでも、ありのままの記録を残しておくことを、今は選びたいと思っています。
どうかどうか、悪くなりませんように。最善の方法を取れていて、最小のリスクで最大の効果が得られたと、あとで思える結果になりますように。
チッたんの肥満細胞腫判明の2日ほど前に、父ちゃんの夢枕にアクアさんが登場したそうです。
気乗り薄な様子で、何か物言いたげな顔をしていた、ということなので、何だろうね、不思議だね、と言い合っていたのですが…もしや、犬の神様あたりに「お前のとこの新入りによくないことが起きるから、報せにいってやれ」とでも仰せつかっちゃったのかな。
「俺としては弟分なんかどーなってもいいんだけどさ。なんかあったら父ちゃんと母ちゃんが泣くんでしょ?」とかいうつもりで、早く医者に連れてけ、って言いにきてくれたのかな。
アクアさん、ピンクちゃん、チッたんはまだ4歳なんだよ。お空に行くほどの修行はまだ積んでないし、行儀見習いもまだまだなんだ。もう少しこっちで修行積ませないととても送り出せないからさ…。だからそっちに行かないように、ちょっと色々手配してやってくださいな。
まあ、まだまだのお行儀なのに、こんなことになっちゃったんで、母ちゃんは全力で甘やかしているんだけどね…。でも急いで一生分甘やかすにはちょっと時間が足りないよ。だから、あと10年くらい都合してやってくださいね…。